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【2020年版】Securitizeの進歩とデジタル証券普及までの道のり

(本記事は、2020年9月25日に公開のSecuritize創業者カルロス・ドミンゴによる記事の翻訳です。)

前回の報告から1年以上がたちました。そこから色々と変化がありましたので、改めてSecuritizeとデジタル証券(セキュリティトークン)の歩みについてアップデートさせてください。

2020年初頭に始まったパンデミックは現在も続いており、経済・社会のにとって大きな試練となっています。世界中の誰もが影響を受けており、病気や怪我、経済的苦難に見舞われた人々に思いを寄せないわけにはいきません。

3月の最初のシャットダウンの後、私たちはすべてのオフィスを閉鎖し、パートナーやお客様と同様にリモート環境で働き始めました。Securitizeはすでにこの新しい状況に適応しており、年初の勢いと集中力をほとんど取り戻しています。

Securitizeが2020年11月に3周年を迎えるにあたり、改めて会社の現状と市場の動きについて触れようと思います。

2017年初頭に、SPiCE VCを運営する中でアイデアを思いつき、その後Securitizeを立ち上げたとき、デジタル証券がいつか世界中のあらゆる資産、特に私募証券やオルタナティブアセットの発行・取引のグローバルスタンダードになるだろうと考えました。

共同創業者と私は、デジタル化が止められない波となり、エンターテインメント、ニュース、通信などの産業を変革していくのを、ほんの数年前に目の当たりにしていました。また、ブロックチェーン技術が世界中の資産のデジタル化するとともに、セキュリティ、効率性、コンプライアンスなどの重要な面を改善する考えました。この流れは時間の問題で、2017年後半にSPiCE VCのデジタル証券の発行と管理のためのシステムを構築した後、私たちはその技術を分社化し、世界中のすべての資産をデジタル化するというミッションを掲げてSecuritizeを立ち上げました。

これまでになく大変な2020年の状況を考えても、私たちから見るとSecuritizeとデジタル証券は着実に進歩しています。今日、私たちは、デジタル証券が資本市場の未来であり、テクノロジーの進化に伴って発行体・投資家の両方にメリットが増えていくことをこれまで以上に確信しています。

過去14カ月間の会社の成長という点では、新しいウェブサイトや投資家プラットフォームのバージョン3.0など、新機能や改善を複数リリースしました。2019年7月には、当社は米国証券取引委員会(SEC)よりトランスファーエージェントのライセンスを取得しました。これはブロックチェーン領域では初めてのことであり、競合他社も追随する動きとなりました。ちなみに、他社のSEC提出書類によると、いずれの会社にも顧客はいません(このように進捗状況を報告するという点でこの業界は透明性が高くなりました)。


SECにトランスファーエージェントとして登録されたことは、私たちにとって大きな出来事でした。この登録によって、ブロックチェーン上にトークンを用いてデジタルで表現された証券の発行や証券代行等のライセンスが必要なサービスを提供することが可能となり、また、SECの管轄下にあるため、全体的な透明性を高めることができます。

数ヶ月前、Securitizeの顧客数は100社を超えました。今日では、130社以上の発行体と30,000人近い投資家が当社のテクノロジーを利用しており、両者にとって私募証券への投資がより良い体験になっています。どちらの数字も印象的な数字であり、私たちは非常に誇りに思っています。14ヶ月前に報告をブログを投稿した当時、当社のプラットフォームを利用している投資家はわずか数千人で顧客数は43社で、17社のお客様と契約をした記念すべき四半期を終えたところでした。今回のタイミングでは、前四半期(2020Q2)には 27社のお客様と契約し、今四半期(2020Q3)には 35 社のお客様と契約する予定で、デジタル証券業界のファンにとっては良い兆しといえるでしょう。

Securitize プラットフォームを利用している投資家は約 30,000 人いると触れましたが、彼らのログインプロセスを高速にしつつ発行体やパートナーのサイト間での投資家情報の移動・管理を容易にするために、当社は最近、新たな投資家IDの管理サービスである Securitize ID(※) をリリースしました。この新サービスでは、当社のコンプライアンス・チームによって検証された投資家のみを受け入れ、彼らはSecuritizeの技術を利用している発行体のサイトにワンクリックでアクセスできるようになります。さらに、Securitize iDはパートナーとの統合にも対応しており、投資家はサービスごとに個別のアカウントを作成したり、本人確認と承認プロセスを繰り返すことなく、他の関連サービスへのアクセスを容易にすることができます。



顧客についてですが、重要で革新的な新規プロジェクトと数多く契約してきました。


創業以来、Blockchain Capital、SPiCE VC、Protos、Science、Cityblock、22x Fund、Cosimo X(大学から機関投資を受けた初のセキュリティトークンファンド)など、当社のプラットフォームを利用したファンドを常に複数抱えています。さらに最近では、Stonegate Global社とのファンド向けフルサービスの提供を開始し、新規・既存のファンドに費用対効果の高いターンキーソリューションを提供しています。また、AltoIRAとの提携も発表しました。これは業界初の試みで、お客様がより有利な税制優遇措置を受けるためにセキュリティ・トークンを投資退職口座にいれることができるようになります。

これらの動きをみると、Securitizeがトランスファーエージェントのライセンスを取得したことで、私たちが発行体に技術を提供するだけでなく、規制されたサービスを提供することが可能になったことがわかります。最近では、Lottery.comによるオンチェーンでのロイヤリティ支払いでは、トークン保有者の半数以上がステーブルコイン (USDC) での支払いを選択しました。ステーブルコインでの支払いは従来の銀行間送金やACH送金よりも、ロイヤリティ支払いが効率良く実現できます。ステーブルコインはデジタル証券の機能を実用化するうえで重要な役割を果たすと考えており、先日、パートナーであるCircleのブログにも投稿しました。

流動性はデジタル証券業界で重要な要素で、最も未発達な部分であり続けています。このため、私たちは発行体のために市場の流動性を、向上させる取り組みを続けています。業界で最も広く採用されている流通市場プロトコルである DS プロトコルを既に導入し、利用可能なセカンダリーマーケット・オプションや申請中のセカンダリーマーケット・オプションのほぼすべてに統合していることに加え、今年 4 月には、発行体がデジタル証券の保有者に対してP2Pのアトミックスワップ機能を提供できるインスタントアクセスをリリースしました。この新技術により、カウンターパーティ・リスクなしにリアルタイムで私募証券を取引することができます。これは業界初の試みで、ブローカー・ディーラーや証券会社のやりとりや介入なしに、実際の私募証券がリアルタイムかつ法令に準拠しながら取引される様子を以下の動画でご覧いただけます。今後12~18ヶ月の間にこの分野で多くの進展があることを期待しており、この問題が解決されることが2020年と2021年の残りの期間の主要な焦点の1つです。


また、Santander InnoVenture(最近Mouro Capitalにブランド変更)、MUFG野村ホールディングスSBIソニーフィナンシャルベンチャーズ(SFV)などの世界最大級の金融機関や、Algo Capital(Borderless Capitalに名称変更された、Algorandのエコシステムファンド)、Blockchain Ventures、Fenbushi、Kinetic、Tezos Foundationなどのブロックチェーン投資家からも追加の資金調達を行い、シリーズAの合計は3,000万ドルを超えました。初期の支援者であるBlockchain CapitalSPiCE VCもこのラウンドに参加し、当社のこれまでの進歩を支持し、自信を示してくれました。ブロックチェーン業界のトップ投資家と並んで世界的な金融機関が支援してくれているという事実は、私たちにとって非常に誇らしいことです。

デジタル証券のもう一つの大きな利点は、発行体と投資家が国境を越えて即座に取引できることです。私たちは日々、世界中の潜在的な発行体からの問い合わせを受けますが、特に日本市場とアジア太平洋地域へのサービス提供にも力を入れてきました。

日本はテクノロジーへの理解とアーリーアダプターとしての歴史があり、デジタル証券の普及と発展の両方において、世界のリーダーとなると確信しています。日本は最近、セキュリティトークンの地位を明確にする新規制を発表しましたが、これは業界の発展に大きく貢献すると考えています。日本におけるセキュリティトークン業界の発展状況については、Security Token Market が最近、イベントの年表を掲載した素晴らしい要約を公開したので、そちらをご覧ください。

Securitizeは、2019年11月にMUFGが主導するセキュリティトークン研究コンソーシアム、2020年6月にSBIホールディングスが主導するJSTOAなど、デジタル証券の普及と発展のために日本の業界団体に参加しています。また、2020年8月にSecuritizeの技術を活用した不動産クラウドファンディングプラットフォームの立ち上げを日本の不動産大手LIFULLが発表するなど、Securitizeは日本でもその技術を活用しています。

グローバルブレイン三井不動産、KDDIなどにすでに投資・支援いただいており、日本では既に確かなポジションを築けていると思いますが、更に強化すべくブロックチェーンコンサルティング会社BUIDLを買収し、東京の新オフィスを拠点とするSecuritize Japanを立ち上げました。これは、当社にとって初めての企業買収であり、日本のマーケットリーダーとしての地位を早期に確立するための重要な賭けでした。

また、この分野には当社だけではなく多くの企業が進出していますこの業界ではニュースが多く、すべてをフォローしたり、真偽を確認することは難しいですが(過去の発表の多くは何の成果を出していないことは業界の信頼性において長らく問題となっています)、私が注目したものや信頼できるものを紹介したいと思います。



この分野の先駆的な企業の1つであるHarborは、Bitgoに買収され、プラットフォームがその後閉鎖される形で市場から撤退しました。

また、今年のCoinDeskのトップ50にSecuritizeがセキュリティトークンの分野のみに注力する企業として唯一ランクインしました。

デジタル証券業界の現状を見て、普及までにはまだまだ時間がかかると言うのは簡単です。しかし、この業界の多くのスタートアップ企業の専属チームや、Santander,、MUFG、野村證券などの大手金融機関の社内チームがいまある技術に対してイノベーション、実装、改善に繰り返し取り組んでいるという事実を認識しておくのも重要です。

Securitizeは、自分たちの分野で出来ることを増やし、業界を積極的に前進させることに専念しています。私たちは現在を、資本形成・アセットマネジメントが必然的にデジタル化される前にある重要でクリエイティブな時期と捉えており、そこに関われることを誇りに思っています。

今後のさらなる展開にご期待ください。

Securitizeチーム


06/15/2020

調査レポート『不動産市場を再考する』

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